雨の日の朝
今日は朝から雨。 窓ガラスに水滴が筋を作りながら流れていくのを、ただ眺めていた。外の景色が少しぼやけて、世界全体が水に沈んでいるように見える。 傘を差して外に出ると、地面には水たまりがいくつもできていて、そこに映る空は灰色。歩くたびに水しぶきが跳ねて、靴の中がじわりと濡れていく感覚がなんとも言えない不快感はある。 雨の日は憂うつになる人も多いけれど、私は少し好きだ。人通りが少なく、街が静かになって、自分の呼吸や足音がはっきり聞こえるから。 そして、濡れたアスファルトから立ちのぼる独特の匂いは、子供の頃の帰り道を思い出させてくれる。 熱いお茶を淹れて、窓の外の雨をBGMにしながら本を読む。雨音は、ページをめくる音を優しく包みこんでくれる。 今日という日は、派手さはないけれど、静かに心を満たしてくれる一日になりそうだ。