夏はまるで人体を用いた耐熱実験
8月、今年の夏はまるで「人体を用いた耐熱実験」だった。
ある日、気温は37℃。湿度は65%。外に出た瞬間、頭がぼんやりして足がふらついた。
後で調べてみると、その日の全国の熱中症搬送者は350人超。
不思議なことに、気温が1℃上がるたびに搬送者数が100人単位で跳ね上がる傾向が出ていた。
まさに「気温=搬送者数のスイッチ」だ。
さらに怖いのは、暑さの総合指標であるWBGT(暑さ指数)。
数値が28℃を超えると発症率は急増し、30℃を超えると10万人あたり30人以上が倒れるという統計がある。
つまり「なんとなく暑いな」と思う頃には、すでに統計的に危険地帯に入っているのだ。思い返せば、熱中症で体が重くなったとき、自分の体はきちんとデータ通りの反応をしていた。感覚は主観だが、統計は嘘をつかない。
この夏の学び:
「1℃上昇すれば搬送者数も増える」と肝に銘じること。
WBGT28℃以上では「外に出る=賭け事」だと理解すること。
そして水筒は単なる飲み物ではなく、命を守る科学的ツールであること。
数字と体験が重なった今年の夏。
熱中症は偶然の体調不良ではなく、統計が予告する「予測可能な災害」だと痛感した。