寒冷地の冬物入れ替えは、一大行事。





冬季のドームにて



寒冷地域の冬が終わると、ただ「衣替えをする」だけでは済まされない。ダウンコートに手袋、厚手のセーターに毛糸の靴下、ブーツ、除雪用のスノーパンツ、冬に活躍した装備たちをひとつずつ丁寧に洗濯していた。押し入れやクローゼットから出していた冬物たちは、ただの衣類ではない。もはや“冬を生き抜く装備”だ。

それらをひとつひとつ洗濯し、乾かし、しまう前に点検し、来季も使えるかどうかを見極める。収納ケースの中には、湿気取りや防虫剤も忘れてはならない。ブーツには乾燥剤を詰め、型崩れを防ぐ工夫も必要だ。

数日目は寝具の入れ替え。これがまた、体力を持っていかれる作業だった。羽毛布団は天気の合間を見て羽毛布団専用コインランドリーに羽毛布団を背負って行き、洗い、乾燥もした。羽毛布団を背負っての行き帰りはハードだ。1枚ではないので、自宅とコインランドリーを何往復かする。毛布や敷きパッドやシーツやカバーも洗って、春夏用の軽いカバーに交換。でも夜はまだ冷えるから、油断して風邪引かないように、毛布だけは残すことに。これで寝具一式の冬物入替えが漸く終えられる。

毎年「こんな大変なこと、なんで一気にやるんだろう」と思いながら、結局一気にやってしまう私。今年も例にもれず、肩腰が痛い。

でも、部屋がちょっとだけ軽やかになった気がする。

そしてその量たるや、ひと世帯分でちょっとした引っ越しレベル。1日かけても終わらず、途中で「これ、まだ5月だけどまた雪降るんじゃ…?」と不安になり、手が止まることもしばしば。押し入れの奥に仕舞っておいた春夏物を出してはみたけど、「これ、本当に着れるの? まだ寒いんだけど…」と少し不安になる。寒冷地の冬物入替え時期は油断ならない。10年前には6月でも雪が降る日があった寒冷地だ。

寒冷地域に住む者にとって、冬物の入れ替えは、季節の節目を告げる儀式であり、小さな戦いでもある。春夏を迎える喜びと、また半年後にやってくる冬への覚悟が交錯する、そんな複雑な時間なのだ。

冬物は来季までしばしの休息。

現在
14°
体感温度: 14°
降水確率:10%
湿度:73%
風速:8 km/h
今後 3 日間は冷える見込みです



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